住民無視の強行 - 小さな集落の小さな漁港の朝

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国頭村奥の集落は、最北端の辺戸岬より遠い。

 

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名護からの国道58号線、辺戸岬までは海岸沿いに弓なりの道が延々と続く。そこを過ぎると道は急に山深くなり、「やんばるくいな注意」の道路標識が頻繁に出てくる。
 
 やんばるくいな注意 に対する画像結果
 
道路の両側は鬱蒼たる亜熱帯の森で、ここからいよいよ、ヤンバルの森の深奥部に入っていく気配に満ちている。山を越えて突然再び海にぶつかる。奥の集落だ。
 
ここは、山と海に囲まれ、牧歌的で静謐さに満ちている人口180人あまりの、小さな、ほんとに小さな集落だ。
 
ここに、一日380台のダンプが押し寄せるという。小学校の近くにある漁港から、辺野古海上工事に使う採石を搬出するために。
 
その搬出作業が、今日から始まった。
 
国頭村島ぐるみの呼びかけで、早朝7:30に奥の漁港に着いた。小学校の横から入っていく漁港への道は、すでに機動隊に封鎖されて一般車両は入れないようになっていた。あとでよく考えたら、この規制もどんな法的根拠に基づいているのかと思う。
 
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歩いて漁港に向かう。国頭村島ぐるみメンバーを中心に50名近い人々がすでに集まっていた。奥の住民も数十人いた。平日の朝だから、高齢の人がほとんどだ。
 

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少し地元の人の話を聞いた。小学校も近くにある集落の道を、日に何百台というダンプが往来し、騒音と排気ガスと粉塵を撒き散らすのは、絶対許せないという。
 
辺野古基地建設に反対でない、奥の住民も来ていた。この男性は住民に何の説明もないことに怒っていた。名護で会社経営をしている人だった。その土地で事業をするなら、まず住民にお願いするのが当たり前で、防衛局にはその常識さえもないのかと。防衛局だけでなく、漁港使用の許可を出した沖縄県職員も、誰も奥区に説明に来ていない。「うしぇーられてる」(ばかにされてる)という声をこの朝何度も聞いた。

 

巨大な台船が漁港に入ってきた。
 

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住民の方達は呆然と岸壁に座り込んでいる。

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小さなハンドマイクで、集会が始まった。
国頭村島ぐるみ共同代表の挨拶のあと、地元の人のスピーチがあった。人の前で話すのはとても苦手です、とことわって話された訥々としたスピーチだった。
 

自分もこっちの出身であります。奥で生まれて育ってまさかこんな日が来るとは思ってませんでした。この港ができて40年近く立ちますが、当時、「島伝い観光」を歓迎して、作られたんで、こんなことのために、基地を作る作業のために作られたんじゃないんです。 自分にも奥の血が流れてます。いつもこの島(集落)のことは気にしてるんですよ。いてもたってもいられず、今日はここに駆けつけてきました。自分は百姓してます。非常に忙しいです。百姓というのは、一日作業遅れたら、タイミング悪ければ二週間遅れることもあるんですよ。一人で、奥の山の上で農業頑張ってます。自分の仕事に誇りを持っています。

 

戦争体験者と思われる年配の女性が、島の歴史も話してと声をかけた。戦争の時に国頭村であったことが語られた
 
先の大戦では、ここ国頭村でも中南部から避難してきた人が、9名の人が、日本軍に虐殺されました。日本刀突きつけられて殺されてしまったんですよ。 戦争というのは異常な時代だなあ。戦争というのはわかればわかるほど反対してきますよ。…… 心があるからわかるよね。
 
皆に語りかけるというより、静かに自問自答するような不思議なスピーチだった。
 

沖縄には素晴らしい政治家がいっぱいいたなあ。屋良朝苗 さん、喜屋武真栄さん、大好きな瀬長亀次郎さんも、もうあの世に行ってますけど、このありさまみてなんと思ってるかなあ。

 

このあと 地元住民の「説明会を開いてください」の呼びかけを、防衛局調達部土木課長は、まったく黙殺した。
 

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そして25台の第一陣のダンプが漁港に押し寄せてきた。

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機動隊にごぼう抜きされても、何度も戻って座り込んだ。辺野古ゲート前と違ってフェンスがないので、囲い込みができなかったからだ。
 

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地元の杖をついた年配の女性たちは、目に涙を浮かべてその様子を見ていた。
 

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